昨年秋から2クールにわたって放送されたアニメ『葬送のフリーレン』。根強い原作ファンが多い中で、アニメオリジナル要素やアニメならではの表現が非常に好意的に受け止められていたことが記憶に新しい作品だ。その展覧会が2024年4月25日~5月12日まで、池袋・サンシャインシティ文化会館ビルにて開催されている。本記事では、会場の様子を写真とともにレポートしていく。
葬送のフリーレンとは
『葬送のフリーレン』の原作は、2020年から『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載されている山田鐘人(原作)とアベツカサ(作画)による漫画作品。
1000年以上生きるエルフの魔法使いフリーレンが、かつて魔王討伐の旅を共にした勇者ヒンメルの死に直面したことをきっかけに、「人を知るために」と再出発した旅路の様子が描かれている。従来のRPG的世界設定を踏襲した上での「終わりから始まる」斬新な構成が特徴的だ。
2023年9月~2024年3月にはそのアニメ版がマッドハウスによって制作され、監督はアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』で監督デビューした斎藤圭一郎が務めた。
アニメ版フリーレンの旅路を追体験する構成。もちろん原作ネタバレなし
『~冒険の終わりから始まる物語~』との副題を掲げた本展は、その『葬送のフリーレン』の“アニメ版”に重心を置いており、アニメ本編に描かれたストーリーのみを取り扱っている。大人の事情ゆえか原作関連の展示がまったくないことに寂しさを感じたが、原作のネタバレを心配するアニメ勢が安心して見られる展示でもあった。
会場を主に構成するのは、作中の絵やセリフの抜粋のパネルと、代表的なモチーフや場面を立体化したフォトスポット。
「プロローグ」ではヒンメル一行の旅とその終わりを、「第1章 新たな冒険の始まり」以降はフェルンとの出会いから始まるフリーレンの新しい旅に触れ、アニメ本編に描かれた「一級魔法使い試験」までを追体験していく。
各パネル展示では1話1話の細部までが丁寧に展開されており、2クール分をじっくり追うとなると質量はかなりボリューミーな印象だった。映像の展示室もあるので、時間に余裕をもって臨んでほしい。
カメラ必携。“エモい”&“映える”フォトスポット多数
本展の一番の見どころは、作中の印象的なモチーフを立体化したフォトスポット。中でも、フリーレンとヒンメル、双方による双方への思いの象徴とも言える「ヒンメル像」と「指輪を贈るシーン」のフォトスポットは見逃せない。
特に、足元には美しく再現された「蒼月草」の花が咲き、頭にはフリーレンが編んだ花冠が飾られた「ヒンメル像」は圧巻だ。ヒンメル一行との旅の振り返りパートの直後に設置されていたこともり、胸にくるものがあった。
フリーレンのようにミミックに捕らえられた姿を撮影できるフォトスポットも、会場の注目を集める。
ほか、会場入り口には、フリーレン、フェルン、シュタルクそれぞれの武器を実際に手にして写真撮影ができるフォトスポットも。おひとり様入場でも十分楽しめるが、2人以上で来場の上、写真を撮り合えば“映え”をねらえるのかもしれない。
原画と完成絵(完成映像)の比較コーナーも
わずかではあったが、TV放送された完成映像や宣伝ビジュアルの完成絵と、それらの原画を比較するようなコーナーもいくつか設けられていた。(※撮影不可のため参考画像なし)
なかでも来場者が足を止めて見入っていたのが、一級魔法使い試験におけるフリーレン&フェルンとその複製体との対決シーンの、完パケ版と線撮版(原画を繋げて撮影したもの)の比較映像だ。これでもかと思うほど、多くのエフェクトが連なった迫力満点のこのシーン。アニメならではの表現に、さらに意識を向けて鑑賞できる。
アニメ『葬送のフリーレン』の世界に没入できるほか、本作を多角的に見つめ直せる本展。会場内ではクイズに挑戦して正解すると特典がもらえたりと、レクリエーション的要素も目立つ。今後は大阪や札幌への巡回も予定されているので、お一人さまではもちろん、家族や友人、恋人とのお出かけ先にぜひ検討してほしい。
©️山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
開催概要
アニメ 葬送のフリーレン展 ~冒険の終わりから始まる物語~
会期
2024年4月25日(木)~5月12日(日)
開催時間
10:00~19:00(最終入場18:30まで)
会場
池袋・サンシャインシティ 展示ホールC
東京都豊島区東池袋3丁目1-4 サンシャインシティ 文化会館ビル3F