『天元突破グレンラガン対キルラキル展』レポート。生原画数は1200枚超え!作画ファン需要に応じた超高密度展示に脱帽

©️中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」 ©️TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

テレビアニメ『天元突破グレンラガン』と『キルラキル』の原画を中心に展示する『天元突破グレンラガン対キルラキル展』がPARCO FACTORY(池袋PARCO本館7F)にて開幕した。会期は2024年7月19日(金)から7月29日(月)までの11日間。本記事では、開催に先駆けて行われた内覧会の様子をレポートしていく。

『天元突破グレンラガン』『キルラキル』の両作品を横断&対峙

©️中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」 ©️TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

監督の今石洋之やシリーズ構成の中島かずきをはじめとしたメインスタッフが共通するテレビアニメ『天元突破グレンラガン』と『キルラキル』。
『天元突破グレンラガン(以下、「グレンラガン」)』は、今石洋之を含む現・株式会社トリガー(以下:TRIGGER)主要スタッフがアニメ制作会社ガイナックスに所属していた2007年に同社の作品として、『キルラキル』はTRIGGER立ち上げ後初となる同社のオリジナル作品として2013年から2014年にテレビ放送された。
本展は、『SSSS.DYNAZENON』『プロメア』『ダンジョン飯』をはじめ数々のアニメ作品を制作してきたTRIGGERの、設立前夜とその後を繋ぐこれら2作品を横断し対峙させるというものだ。
両作の共通性や類似性、もしくは相違が実感できる構成とともに、今石監督作品およびTRIGGER作品が持つアニメーションの魅力を、時を止めてじっくりと味わうことができた。

生原画がみっちり。一枚一枚の熱量も、1200枚超えの物量もすごすぎる

ここからは、その内覧会の様子を写真とともになぞっていく。
会場でまず目に入るのは2つの作品のキャラクターたちが大集合した本展メインビジュアルの大ポスターと、本展に向けて描き下ろされた今石洋之によるイラスト、そして、中島かずきによるメッセージパネル。メッセージ内で中島は、10年以上の年月が経過しても両作が愛され続ける喜びを語っていた。

入口手前のインスタレーション/©️中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」 ©️TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

ふたつの作品の完成映像や完成絵によって構成された空間インスタレーション横の入口を通過。
すると、決して“狭い”とは言い難いPARCO FACTORYの壁中が、原画、原画、原画……で埋め尽くされた圧巻の光景が広がる。

「グレンラガン原画展示」のエリア/©️中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」 ©️TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

ガンメンを中央に置いた1部屋目「グレンラガン」の展示エリアには、大グレン団の戦いの始終の印象的な原画たちが展示される。静止しているにも関わらず、どの原画の中にもすでに“動き”が息づいており、その後のアニメーションを想像(もしくは脳内補完)させられた。
中でも筆者が特に目を引かれたのは、15話における螺旋王ロージェノムの原画。原画の時点で、鉛筆跡が照明をぎらぎらと反射するほどに力強く陰影が描かれるこの一枚は、一枚絵としての強度の高さが圧倒的だった。アニメの原画展であることを忘れそうになるほどだった。

続く2部屋目は両作の原画を螺旋状の壁面に展示した「螺旋展示」

螺旋展示/©️中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」 ©️TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

『キルラキル』纏流子と鬼龍院皐月の“人衣一体”における変身バングの原画の展示から、間髪入れずに「グレンラガン」1話の原画が連ねられる。両作をミックスするような展示に、「グレンラガン」での重要なモチーフとなる“螺旋”を用いた空間演出が洒落ていた。

「キルラキル原画展示」のエリア /©️中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」 ©️TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

3部屋目は『キルラキル』の原画展示エリア。生命戦維との戦いをはじめ、作中の名シーンの数々の原画がここにもずらり。展示された資料の物量にも慄くが、原画1枚1枚にみなぎる熱量、強度、そして迫力は壮観だ。

最後の部屋は「特別映像」のエリア。本展に向けて制作された、両作を融合させた映像がループ再生される。異なる世界を描いた2作が、いっさいの違和感もなく入り混じっていた。

「原画の隅に書かれた指示がアツい」「ここに住みたい」作画ファン需要に応じた展覧会

百貨店や商業施設における昨今のマンガ・アニメの展覧会は、制作資料よりも、フォトスポットや作中シーンの再現展示がメインとなるものが多い。一方、本展はPARCO FACTORYで開催されるものとしては比較的珍しい、90%が原画(その数1200枚超え!)で構成されたものだった。それゆえに、記念に撮影できるようなスポットも他のマンガ・アニメの展覧会に比べると少ない。
しかしながら、開催初日のSNSを覗けば、原画の片隅に残された有名アニメーターによる指示ややりとりの痕跡に胸を熱くする来場者の声が多く見受けられるように、本展のこのような構成に対するファンたちの満足度は非常に高い。「ここに住みたい」「1部屋見るのに数時間は必要」といった感想もあった。作画やアニメーターを愛するTRIGGERファンの需要を正確に掴んだ本展からは、作品やスタジオが抱えるファン層を正しく把握することの重要性を改めて感じさせられた。

来場前にチェックしておきたい公式動画

また、当然のことながら、このような展覧会は、デジタル化が現在ほどには浸透していない頃に作品自体がアナログの手法をもって制作されたこと、そして生原画が保存されていたからこそ成されたものである。その裏には原画の保存や整理のほか、展示に向けた選別作業が発生していることにも目を向けたい。

以下のTRIGGER公式「TRIGGER CHANNEL」による動画では、TRIGGER取締役であり、2作品にもスタッフとして携わった舛本和也氏による原画の選別作業の様子が記録されている。

解説とともに原画をチラ見せしつつ、展示に用いる素材の選別の基準についても言及しているため、ぜひこちらも来場前にチェックしてほしい。

本展は東京会場での開催ののち、愛知、福岡、札幌のPARCOを巡回する予定。

開催概要

天元突破グレンラガン 対 キルラキル 展

会期

2024年7月12日(金)-7月29日(月)

時間

11:00-21:00

会場

池袋PARCO 本館7F・PARCO FACTORY

巡回情報

期間:2024年8月3日(土)~12日(月)
会場:愛知県 名古屋PARCO南館7F PARCO SQUARE

期間:2024年9月20日(金)~10月6日(日)
会場:福岡県 福岡PARCO本館5F PARCO FACTORY

期間:2024年12月6日(金)~15日(日)
会場:北海道 札幌PARCO 7F SPACE7

©️中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」 ©️TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

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